RESULT

DRADITION 2018


後楽園ホール   18:00開場 19:00開始

THE REVENGE TOUR in TOKYO
観衆:1,562人

大会のポイント

メーン:藤波&越中&丸藤 vs カネック&藤原&KAZMA
藤波・カネック30年振りの対決!因縁の戦いが『今』蘇る!
セミ:長井&坂口&YAMATO vs KENSO&B×Bハルク&上野
ドラゴンゲート&DDT、危険なレスラー達の思惑が交錯する!
第4試合:ヒロ&谷津 vs 新崎&新井
リング復帰の谷津がサプライズ参戦!ヒロとの連携が光る

第1試合(蓮見隆太 vs 飯塚 優)
 メキシコ生まれのマリアッチミュージシャン「アレックス&ビクター」のマリアッチ演奏で、会場全体がメキシカンムードに包まれる中、第1試合のゴングが鳴らされる。UWFスネークピットジャパンの蓮見隆太と、HEAT-UPの新鋭・飯塚優の15分1本勝負だ。
 蓮見が得意の飛行機投げ(ファイヤーマンズキャリー)で先制すると、飯塚は焦らず素早くバックを取り、得意の足関節技で蓮見の動きを止める。フェースロックで飯塚の動きをピタリと止めた蓮見だったが、飯塚はさらにクォーターネルソンで蓮見を転がし、ガラ空きとなった足を捕獲してアキレス腱固めと、めまぐるしい攻防で観客の目を釘づけに。
 飯塚がフェイントの胴タックルからバックを取ったところで、あっという間に5分経過。蓮見が掌底、飯塚がキックの激しい打撃戦に移行する中、絶妙なタイミングで飯塚の蹴り足をキャッチすると、そのまま寝技の展開でからみつき左腕捕獲の逆十字固めで勝利。ドラディションの新名物となりそうな、スピード感溢れる攻防に場内は拍手に包まれた。

第2試合(三州&近藤 vs リッキー&倉島)
 ドラディションの第1試合で毎回、激しい火花を散らす“ドラディションの門番”倉島信行と、“銀座の若大将”三州ツバ吉が、それぞれリッキー・フジ(KAIENTAI DOJO)、近藤“ど根性”洋史(HEAT-UP)と他団体からパートナーを引き連れて第2試合で対決。
 レフェリーが試合前の握手を促すものの、倉島と三州だけは握手を徹底拒否。スパイダーマン仕様のコスチュームで出陣した三州に対し、倉島はまるでツチグモのような動きで威嚇。感情をムキ出しの2人を笑うかのように、ベテランのリッキーは軽いサミング攻撃で三州の動きを止めつつ試合をコントロール。三州と組むHEAT-UPの元気印・近藤は「ど根性〜っ!!」と絶叫しながら、敵陣営に突進突進また突進!
 何度叩きつけられようが「ど根性〜っ!」と立ち上がる近藤に業を煮やした倉島は、まるでゴリライモのように非情な鉄拳制裁で近藤のど根性をストップ。三州も近藤の腕をネチネチと固めて捕獲する倉島に対し、全身が一直線に伸びる、憎しみを込めつつも綺麗なフォームのドロップキックを叩き込んでカット!
 最後は冷静さを保つリッキーが必殺のカミカゼから、近藤の両腕をクロスしての変形DDT「9999(フォー・ナイン)」からの片エビ固めで勝利。ベテランのマットさばきを横目に、倉島と三州は試合終了後も果てしなき小競り合いを繰り返していた。

第3試合(スーパー・タイガーvsブラック・タイガー)
 リアルジャパンプロレスから参戦の現レジェンド王者、スーパー・タイガーはゴングと同時に軽やかな打撃系フットワークで初代から続く永遠のライバル、暗闇の虎を威嚇。即座にブラックはレフェリーに何やらクレームをつけるが、もちろんスーパーは何ら反則をしたわけでもないので、当然、レフェリーは無視する。
 鬱憤が蓄積するブラックは、スーパーを場外へと叩き落すと、いきなり反則乱闘モードに突入。スーパーの首にパイプイスを引っ掛けると、そのイスをめがけて、もう1脚のイスを振り下ろすという、金属の伝導特性まで計算し尽くした恐怖の反則技を繰り返す。
 怒りのスーパーはブラックをコーナーに詰めて蹴りまくると、ニードロップ、チキンウイング・フェースロック、メキシカンストレッチと畳み掛けるが、ブラックは急所蹴りなどの反則でのらりくらりと脱出。さらに怒り倍増のスーパーはランニング・ニーから、腕をからめて後方へと転がし、再度のチキンウイング・アームロックでブラックの左肩破壊を狙う。しかしブラックは空いている右手でスーパーの覆面をワシ掴みにすると、そのまま覆面を剥ぎ取ってしまい反則負け…。今度こそレフェリー裁定に不満爆発のブラックは、なんとレフェリーにも暗闇脳天ことツームストンパイルドライバーを見舞ってウサを晴らしつつ、さっさと控室へと消えた。

※休憩時、再び「アレックス&ビクター」が登場。会場は後半に向けてさらに盛大な雰囲気に。そして、ミュージシャン円道一成氏が登場。驚異的なロングトーンで会場を圧倒、後半戦は円道氏のリングコールにより選手達が登場する。

第4試合(ヒロ&谷津 vs 新崎&新井)
 今大会最大の異色カードが第4試合で実現。ともに新日本プロレス育ちのヒロ斉藤と“すごいヤツ”谷津嘉章がタッグを組み、新崎人生&新井健一郎とタッグ対決した。
 何の共通項もなさそうな新崎と新井だが、普段は菅原文太&愛川欽也歌唱の『一番星ブルース』(映画『トラック野郎シリーズ』の主題歌)を入場曲に使う新井と、プロレスラーになる以前、その菅原文太さんの付け人を務めていた新崎は、不思議と息がピッタリだ。
 新井は果敢にも日本レスリング界で「重量級史上最強の男」と呼ばれ、歴代の重量級でただ1人、アジア王者にまで輝いている谷津を、低い態勢で威嚇しつつレスリング勝負を挑んだが、当然のように簡単にコントロールを許してしまう…。すぐさまタッチした新崎に対しても、完全に初対決となる谷津は寝技に引き込みネックシザースで捕獲。すると新崎はネックスプリングでスルリと切り抜けてピンチを脱出。谷津と代わったヒロの腕をねじり上げると、そのままトップロープに飛び乗って「拝み歩き」を披露。「後楽園ホールで試合するのは10年ぶり以上」とあって、スタミナへの不安もあり、やや勝負を焦る谷津は、軽量の新井を捕獲すると強引に得意のブルドッキング・ヘッドロックを見舞わんとするが、これは新井に読まれてスッポ抜け…。
 すかさずヒロが勝負勘を発揮し、セントーンで新井の動きを止め、今度こそは谷津のブルドッキング・ヘッドロックが炸裂! そのまま監獄固めに入ろうとしたが、谷津には試合権利なし…。谷津によって動きを封じ込まれた新井をめがけて、ヒロがセカンドロープから2発目のセントーンを発射し、3カウントを奪い勝利を飾った。
 試合後の谷津はヒロの好アシストに感謝しつつ「やっぱり、後楽園はプロレスの聖地。最初はコンディションが不安だったけど、お客さんの声で勝手にカラダが動いてしまう感じ。ブランクがあるからさ、今日はデビュー戦以上に緊張したよ。次はシングル? やっぱりまだ無理かな…」と、やや弱気とも思えるコメントを残し、報道陣を煙に巻いた。

セミファイナル(長井&坂口&YAMATO vs KENSO&ハルク&上野)
 今大会のセミファイナルを飾ったのは軽量級プロレスの国内最高峰・ドラゴンゲートから参戦のB×BハルクとYAMATO、そしてDDTから参戦の坂口征夫と期待の新鋭・上野勇希の4選手に、ドラディションを舞台に遺恨の火花を散らす長井満也とKENSOが混じる形の6人タッグマッチだ。
 軽量級ならではの、めまぐるしく動くスピーディーな攻防で観客を湧かすドラゴンゲート&DDT勢とは対照的に、長井とKENSOはヘビー級ならではの重厚なパンチ、キックでぶつかり合い、さらにはヘビー級であることとは無関係だが、人間性は大いに関係する醜い罵り合いを展開しつつ場外に戦場を求めた。
 長井とKENSOが後楽園ホール全体を戦場に暴れ回る中、リング上ではハルクとYAMATOが立体的な攻防でファンを熱狂させ、DDTの坂口と上野は鋭い打撃戦で痛みが伝わるプロレスに終始。そんな中、思い出したかのようにリングに戻ってきた長井は、軽量の上野の顔面にビッグブーツを叩き込むと、みちのくドライバーで軽々と叩きつけ、全身にまとわりつき、絞り上げるかのような拷問技・ストレッチプラムで上野を捕獲。なんとか耐えた上野だったが、体格差を駆使してさらにひねりあげてくる長井に屈して、ついにギブアップ。長井のカン高い勝利の雄叫びが場内に響きわたった。

メーンイベント(藤波&越中&丸藤 vs カネック&藤原&KAZMA)
 歌手の“ジュリー”こと沢田研二さんのドタキャン騒動が世間を騒がせる絶妙なタイミングの中、40年前の藤波戦ドタキャン騒動が今現在までも「敵前逃亡事件」として語り継がれるエル・カネックが来日。1988年の新日本プロレス以来、約30年ぶりに肌を合わせることになった。
 初遭遇から40数年が過ぎ、カネック自身の異名も「怪盗仮面」「仮面の魔豹」、そして「メヒコの帝王」に定着した後、現在では「マヤの大王」と変化とグレードアップを続ける中、藤波はまず、自分より1歳ほど年上(66歳)にあたるカネックの、さらに厚味を増し、ビルドアップされた肉体に驚かされることに。
 もはや待ったなし。藤波は越中詩郎と丸藤正道(ノア)、カネックは藤原喜明(藤原組)とKAZMA SAKAMOTO(フリー)をパートナーに引き連れての再会となったが、両者ともにゴング同時に先発を買って出る。ふてぶてしくリングを踏み締め、鋭い眼光で藤波を威嚇したカネックは、ホール内に響きわたる「ドラゴンコール」に不快感を隠さず、まず圧力をかけて藤波をロープに押し込んでからロックアップ。カネックがパワフルなヘッドロックで藤波を絞り上げると、藤波も負けじとコブラツイストで絞り上げてから越中にタッチ。藤波がコーナーに戻るのを見届けると、カネックもKAZMAにタッチ。ここからは越中が大・中・小のケツ攻撃を使い分けて、KAZMAを圧倒。越中と交代した丸藤はチョップでKAZMAを威嚇すると、飛び出してきた藤原組長の一本足頭突き、何かそこに恨みでもあるのか? 丸藤の急所に狙いを定めた攻撃に終始した。
 軽量の丸藤に目をつけたカネックはエルボー、ブレーンバスター、アームドラッグ、メキシカンストレッチと波状攻撃を仕掛けたが、耐え抜いた丸藤は巧みにエスケープ。一方の藤波も、比較的、軽量なKAZMAをドラゴンスリーパーで捕獲しかかったが、カネックの重厚なストンピンクにカットされてトドメは刺せず…。最後はカネックが丸藤をコブラツイストに捕えたスキを突きつつ、藤波が“裏必殺技”とも呼ばれる瞬殺の逆さ押さえ込みでKAZMAから3カウントを奪い、30年ぶりの再会マッチを自らの手で締めくくった。
 試合後もにらみ合いが続いた藤波とカネックだったが、やがては握手。そのまま藤波とは新日本プロレス時代から激しいライバル関係と深い因縁で結ばれており、ドラディションにも参戦経験があり、今年6月に亡くなった(ビッグバン)ベイダーさんと、7月に亡くなったマサ斎藤さんを追悼する10カウントゴングがが全選手黙祷の中、打ち鳴らされた。

試合終了後コメント
 バックステージではカネックと並んで会見に臨んだ藤波は、30年ぶりのリング再会に「カネックのこのカラダの厚味とパワーには驚かされました。久々なんだけれども、ガッと組んだ瞬間に、30年…いや40年前に戻ってしまったような不思議な感覚です。肉体は闘った記憶や感覚を覚えているんですね」と感激の表情。今後もかつてのライバルたちをドラディションのリングに招聘し、闘い続けることを改めて宣言した。
 一方のカネックは「フジナミは昔も今も素晴らしいレスラーだ。日本だけでなくメキシコでも尊敬を集めている存在だ。今日、フジナミと対戦してみて、改めてルチャドール(プロレスラー)にとって一番大切なのは、技ではなく、経験であることを思い知った。フジナミは生きるレジェンドなんだと思う」とコメント。
 また「今回のツアーに参加することで、プロとして尊敬していたマサ・サイトーと、メキシコでUWA世界ヘビー級王座を賭けて闘ったこともあるベイダーの追悼セレモニーに参加ができて良かった」と、藤波に感謝の念を述べつつ、「今日はまだまだ50〜60%の出来だった。あさってのオーサカ(大阪南港ATCホール大会)では、さらにコンディションをアップさせて藤波を追い詰める」と誓っていた。

試合結果

第 1 試合 シングルマッチ 15分1本勝負
○蓮見隆太
5分30秒
腕ひしぎ逆十字固め
飯塚 優×
第 2 試合 タッグマッチ 30分1本勝負
倉島信行
○リッキー・フジ
10分40秒
9999から
片エビ固め
近藤“ド根性”洋史×
三州ツバ吉
第 3 試合 シングルマッチ 30分1本勝負
○スーパー・タイガー
10分54秒
反則勝ち(マスク剥ぎ)
ブラック・タイガー×
第 4 試合 タッグマッチ 45分1本勝負
谷津嘉章
○ヒロ斉藤
11分33秒
ダイビングセントーンから
体固め
新井健一郎×
新崎人生
セミファイナル 6人タッグマッチ 60分1本勝負
スペシャル6人タッグマッチ
YAMATO
坂口征夫
○長井満也

13分17秒
ストレッチプラム
上野勇希×
B×Bハルク
KENSO
メインイベント 6人タッグマッチ 60分1本勝負
スペシャル6人タッグマッチ
丸藤正道
越中詩郎
○藤波辰爾

11分24秒
逆さ押さえ込み
KAZMA SAKAMOTO×
藤原喜明
エル・カネック
試合写真
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