RESULT

0DRADITION 2018


後楽園ホール   18:00開場 19:00開始

BACK TO THE NEW YORK TOUR in TOKYO
観衆:2,473人(超満員)

大会のポイント

メーン:藤波&バックランド&長州 vs TAJIRI&新崎&KAZMA
MSG時代のニューヨーク再来!藤波・バックランド・長州が夢のトリオ結成!
セミ:藤原 vs 越中
まむしクローとヒップアタック応酬合戦のルール無視の喧嘩マッチ!
第4試合:ヒロ&コブラ vs KENSO&B・タイガー
巨大化したザ・コブラが軽やかなフットワークで敵陣営を翻弄!
第3試合:長井&佐野 vs 潮﨑&HAYATA
長井とドラディション初参戦の潮﨑が感情むき出しのラフファイト!

第1試合(倉島&蓮見 vs S・タイガー&三州)
 ゴングと同時に「ドラディションの門番」を自認する倉島がローンバトルでスーパー・タイガー&三州と攻防。S・タイガーの蹴撃に耐えつつも、ねちっこく寝技、固め技へと引きずり込む展開が繰り返された。
 ようやく倉島と交代した蓮見が、素晴らしいコンデションとキビキビとした動きで試合を引き締めたが、三州に翻弄され、Sタイガーのキックを受けて棒立ちとなったスキに変形の卍固めで全身を固められてギブアップ。銀座の若大将・三州と殴り合っているうちに蓮見を見捨てる形になってしまった倉島は、ゴングの音でようやく敗戦に気がつき、両手を広げて「Why?」のジェスチャーでレフェリーと観客にアピール。試合には敗れたものの「BACK TO THE NEWYORK TOUR』のツアータイトルを第1試合から体現し、門番としての意地を見せた。

第2試合(LEONA vs 吉田充宏 vs 藤原ライオン)
 LEONAにとって、通常の試合とは「別ベクトルの試練」となる3WAYマッチ。まずは藤原ライオンがパワーの差でリングを支配。場外に落ちたLEONAに向かって、ジュニアヘビー級時代の藤波辰巳を彷彿とさせる、身体が一直線の矢のように突き刺さるドラゴンロケット(トペ)を発射。GJPプロレスからドラディション初参戦となる吉田充宏は、落ち着いたマットさばきで荒ぶるライオンを場外へと叩き落とし、リングに戻ったLEONAを回転式のデスバレーボムで叩きつける。ライオンと吉田がLEONAのみを標的とする展開が続いた。
 それでも黙々と勝機を狙うLEONAはライオンをコーナーに叩きつけ、串刺し式のドロップキックで反撃。ライオンと吉田は結託と裏切りを繰り返しつつLEONA狩りを急いだが、吉田が的確なフォームのドラゴンスクリューでライオンを戦線離脱させると、今度はLEONAが父直伝のドラゴンスクリューで吉田を転がし足4の字固め。荒ぶるライオンがリングに復帰すると、今度は吉田がこれまた美しいフォームの雪崩式フランケンシュタイナーで叩きつけ、試合の流れを引き寄せる。だが、落ち着き払ったLEONAは吉田の背後に忍び寄り、逆さ押さえ込みで3カウント。波乱の3WAY戦を冷静沈着に制してみせた。

第3試合(長井&佐野 vs 潮﨑&HAYATA)
 ノアで開催の『グローバル・タッグリーグ戦2018』の追撃戦の如く、長井満也とドラディション初参戦となる潮﨑豪が感情むき出しでラフファイト。休憩前の第3試合から場外で大乱闘が繰り広げられた。
 潮﨑は悪態三昧の長井を場外で引きずり回し、北側観客席に築いたイスの山へと放り投げる。だが、ここはノアではなくホームリングであるドラディション。局地的に響き渡る「ナガイコール」に気を良くした長井はムクムクとゾンビのように蘇生。佐野巧真はHAYATAにフットスタンプを見舞って長井を援護射撃。同じくドラディション初参戦となるノアのビジュアル系戦士・HAYATAに声援が集まり始めると、長井は「HAYATA、HAYATAって、うっせーんだよ!」と今度はキレ芸を発揮。その後は潮﨑の豪快なチョップ連打を被弾してしまった。
 佐野と潮﨑が場外で乱闘を繰り広げるスキに、長井はHAYATAの変形スクールボーイ×2で青息吐息。だが最後は起死回生のニーリフトで軽量のHAYATAを吹っ飛ばすと、みちのくドライバーⅡ→ハイパーニー空牙で3カウント。ノア勢を撃破し、ホームリングで意地を見せた。

第4試合(ヒロ&コブラ vs KENSO&ブラック・タイガー)
 十数年ぶりにリング復帰したザ・コブラが、かつてのライバル・ヒロ斉藤とタッグを結成し、KENSO&ブラック・タイガー組と対戦。ファンの大声援に迎えられ、NWA世界ジュニアヘビー級王座のチャンピオンベルトを手にリングインしたコブラは、とても元ジュニアヘビー級2冠王(NWA世界&WWF)とは思えぬほど巨大化していたものの、軽やかなフットワークで敵陣営を翻弄した。
 試合前、ヒロは「コブラとは何度となく闘ったけど、組んだ記憶はないんだよな…」と不安を口にしていたが、ゴングが鳴ると、巧みに立ち回り、KENSOと暗闇虎のリズムを分断し、絶妙なタイミングでコブラにタッチ。タイガースピンからサーフボード・ストレッチ、吊り天井でKENSOを苦しめ、主導権を握ったものの、コブラは場外乱闘では観客のドリンクを失敬し、ゴクゴクと喉を潤してから戦線復帰。腰ヒモで首を絞めてくるKENSOをビンタ一発で一蹴すると、フライング・ニールキックから、元祖と言われているスペース・フライング・タイガードロップまで見舞おうとしたが、これは未遂に終わった。
 その後、コブラがKENSOと暗闇虎をダブルのラリアートで吹っ飛ばすのを確認すると、コブラの「ガス欠」を案じたヒロがタッチし、暗闇虎にセントーン、さらにセカンドロープからダイビング・セントーンを発射して3カウント。かつてWWFジュニアヘビー級王座を争ったライバルチームが勝利を飾った。
 久々の戦線復帰となるコブラは「尊敬する大先輩のリングに上がれて光栄です。ファンの皆さんの声援も嬉しかった」と感慨深げだった。



◎セミファイナル(藤原 vs 越中)
 入場だけで場内の盛り上がりはマックス! 先にリングインした越中詩郎が、藤原組長のリングインを妨害したことで、人気の職人同士の渋い一騎打ちはいきなり喧嘩マッチの様相に…。
 ともに頭突きを連打し合った結果、早くも藤原組長の頭部が割れて流血。越中がさらに頭部へのケツ攻撃を繰り返したため、白いコスチュームが血に染まってしまった。ラフモードに入った藤原組長は、関節技だけでなく、もう一つの得意パターンであるコブラクローならぬ“まむしクロー”で越中を捕獲。制止に入ったジェントル高久レフェリーを突き飛ばし、その後も流血した頭部で一本足頭突き、ワキ固め、パワーボムで逆転を狙う越中をショルダースルーで投げ飛ばし、大の字にすると、さらに“まむしクロー”で越中にトドメを刺さんとする。
 制止に入った高久レフェリーをまたもやハネ飛ばすと、今度はイライラがMAXに達した越中が、高久レフェリーをロープに飛ばしてヒップアタック! さすがにこれは「やりすぎ」と判断され、即座に越中に反則負けが宣告された。両者ともにレフェリーに八つ当たりと暴力を繰り返したため、「両者反則裁定」でもおかしくはなかったが、「大人のサジ加減」をわきまえた藤原組長が反則勝ちを飾った。

メーンイベント(藤波&バックランド&長州 vs TAJIRI&新崎&KAZMA SAKAMOTO)
「BACK TO THE NEWYORK TOUR』初戦のクライマックスは、藤波辰爾&ボブ・バックランド&長州力の夢トリオが、ともにWWEを体験しているTAJIRI&新崎人生&KAZMA SAKAMOTOの「ニューヨーク三銃士」を迎え撃つ6人タッグマッチだ。
 まず長州が入場。続いて藤波が入場すると、最後にバックランドが入場。昭和時代からおなじみの「ウォウ!ウォウ!ウォウ!」の掛け声とともに、独特な「レスリングウォーク」でリングを歩き、藤波、長州と握手を交わした。
 ゴングが鳴っても赤いTシャツを脱がないバックランドは、そのまま先制を買って出ると、KAZMA SAKAMOTOを低い前傾姿勢で威嚇しつつ、手四つから後転しつつ相手の左肩をロックするなど、往年のムーブを披露。コーナーから救出に入ったTAJIRI、新崎も含めて3選手を、右腕のみの「腕払い」で倒して長州にタッチした。
 ニューヨーク三銃士は長州をコーナーで捕獲すると、かつて長州が率いた維新軍の十八番「太鼓の乱れ打ち」を見舞うが、長州は動じないまま藤波にタッチ。藤波はかつてのライバル・バックランドに見せつけるかのような美しいフォームの巻き投げでKAZMAを投げ捨て、レッグロックを逆十字固めで切り返して見せた。
 それでも攻撃のリズムを崩さないニューヨーク三銃士は、新崎が藤波の腕をロックすると、ロープ上を拝み歩き。続けてKAZMAが「掟破りの逆ドラゴン・リングイン」で藤波を挑発したが、これまた藤波も動じず、ドラゴンスクリュー一閃で長州にタッチ。TAJIRIが長州の顔面にグリーンミスト(毒霧)を発射したところ、まんまと避けられ、背後から長州を押さえ込んでいたKAZMAの顔面に誤爆。長州からタッチを受けたバックランドがハイアングルのアトミックドロップでKAZMAを叩きつけると、そのまま必殺のチキンウイング・フェースロックで固めてギブアップを奪った。
 勝利を飾ったバックランドは興奮の余り、着ていたTシャツをビリビリと破り捨て試合後になって上半身を晒すという謎のパフォーマンス。そこには到底68歳とは思えぬ見事なボディが披露されたため、ますます謎が深まった。

 長州は控室へと戻ったが、マイクを握った藤波が「我々がMSGでチャンピオンベルトを獲って40年です。今回、ニューヨークをテーマに大会を開く、このタイミングで急な訃報が飛び込んできました。我々レスラー、全員が憧れた偉大なる大先輩であり、ボクもバックランド選手も尊敬するブルーノ・サンマルチノ選手が先日、他界されました。ここで10カウントゴングを鳴らし、追悼させていただきたいと思います」と、急きょ、4月18日に82歳で亡くなった“人間発電所”ブルーノ・サンマルチノさんの追悼セレモニーが行われた。現代へと続くニューヨーク伝統のプロレスの礎を作ったブルーノ・サンマルチノさんを偲びつつ、サンマルチノ時代の後、ヘビー級とジュニアヘビー級の王者としてでWWFのリングで活躍した藤波とバックランドが、日本のリングで揃い踏みして追悼の10カウントゴングを聞いた。
 約3年前、WWEのロウ大会にゲスト参戦して以来のリング復帰となったバックランドは、「あれはゲスト参戦だったから、本格的な試合は本当に久しぶり。もっと動けた気もするし、Tシャツを脱がなかったのは、次へのお楽しみだと思って欲しい」と笑顔。

 バックランドと初タッグとなる長州は41年前の米国修行時代に、フロリダ州タンパからジャクソンビルの試合会場まで約300マイルをバックランドに運転させて会場入りした思い出話に花を咲かせつつ、藤波は「本当に元気だったね〜。これは今後に向けて、いろいろなものが動き出す予感がします。今日は彼から凄い刺激を受けた。非常に満足しています」と破顔一笑で、バックランドとガッチリ握手を交わしていた。

試合結果

第 1 試合 タッグマッチ 20分1本勝負
三州ツバ吉
○スーパー・タイガー
9分45秒
変形卍固め
蓮見隆太×
倉島信行
第 2 試合 3WAYマッチ30分1本勝負
LEONA VS  吉田充宏 VS  藤原ライオン

○LEONA
7分46秒
逆さ押さえ込み
吉田充宏×
第 3 試合 タッグマッチ 30分1本勝負
○長井満也
佐野巧真
14分05秒
ハイパーニー空牙から
エビ固め
HAYATA×
潮﨑 豪
第 4 試合 タッグマッチ 30分1本勝負
ザ・コブラ
○ヒロ斉藤
13分02秒
ダイビングセントーンから
体固め
ブラック・タイガー×
KENSO
第 5 試合 シングルマッチ 45分1本勝負
○藤原喜明
9分11秒
反則勝ち
越中詩郎×
第 6 試合 6人タッグマッチ 60分1本勝負
スペシャル6人タッグマッチ
長州 力
○ボブ・バックランド
藤波辰爾
13分02秒
チキンウィング
フェイスロック
KAZMA SAKAMOTO×
新崎人生
TAJIRI
試合写真
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